正式名は、ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群(Hutchinson-Gilford progeria syndrome)といい、早老症状を呈する病気の一つである。プロジェリアとは、老年を意味するギリシャ語に由来しており、早老症全般を指していうこともある。他の早老症としてウェルナー症候群(Werner syndrome)、コケイン症候群(Cockayne syndrome)などがある。ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群は400万人から800万人に1人の有病率とされる、極めてまれな病気である。乳幼児期に発症し、通常の10倍程度のスピードで全身の老化現象が起こる。低身長で頭が大きく、頭髪がなく、眉やまつげの脱落、とがった鼻、甲高い声、しわが多く老化した皮膚などの特徴が見られる。平均寿命は約13歳で、動脈硬化による心疾患や脳血管障害で死亡することが多い。現在、治療法は見つかっていない。原因として、細胞内の核膜を構成するラミンA(lamin A)というたんぱく質の遺伝子(Lmna)の突然変異が起きていることが2003年に報告された。治療法の開発のほか、老化現象を解明する鍵になりうるとして注目されている。