病態は、肛門側腸管の腸内神経叢の中の神経節細胞が先天的に欠如しているため、腸管の蠕動(ぜんどう)運動が停止してしまい、その結果痙攣性狭窄(きょうさく)を生じる機能性腸閉塞である。男女比は4対1で男児に多い。主な症状は、新生児期に始まる頑固な便秘と腹部膨満で、腸管が閉塞をきたすと腹痛、嘔吐などを起こし、ガス貯留によって腹部が膨らむ鼓腸を示す。診断における立位腹部単純写真では、腹部全体の高度に拡張した腸管ガス像や大腸に鏡面形成が見られる。また、注腸造影では、病変部位が狭窄により狭小化を起こし、それより上方の腸管は拡大している像が認められる。その他、直腸内圧測定や、直腸粘膜生検で診断を確定する。治療では、保存的療法として留置カテーテルによるガス抜き、浣腸、洗腸が行われる。手術療法は、排便コントロール良好な場合、生後3~4カ月(体重が6キロ前後)になった時点で行う。閉塞症状が強い場合は、速やかに外科治療を行う。神経節細胞の欠落範囲が結腸全体に及ぶ全結腸型ヒルシュスプルング病では、移植手術が必要になる。