近年、内視鏡技術の進歩によって、様々な病気に対して開腹手術を行うことなく、内視鏡による治療を施すことができるようになってきている。内視鏡的治療は、消化管内視鏡を用いて内科的に施行されるものと、全身麻酔下に胸腔鏡、腹腔鏡を用いて行われる内視鏡手術の二つに大別される。前者では、胃・大腸のポリープを切除するポリープ切除術(ポリペクトミー)、早期の食道・胃・大腸がんに対する粘膜切除術、食道静脈瘤に対する結紮術(けっさつじゅつ)および硬化療法、胃・十二指腸潰瘍などからの出血に対する内視鏡的止血術、悪性疾患による狭窄(きょうさく)に対するステント留置、総胆管結石に対する内視鏡的除去術などがある。一方、内視鏡手術は10年以上の歴史がある。当初は胆石症に対して行われたがその後急速に普及、現在はがんを含めた様々な疾患に対し適応が拡大されている。内視鏡治療は、開腹手術に比べて侵襲が小さいため、術後の回復が早いのが最大の利点だが、その半面、視野が狭いことや機械の手による処置となることなどから、内視鏡治療特有の合併症も報告されている。