肝硬変とは、肝炎ウイルス、アルコール多飲などの様々な原因で認められる慢性肝障害の終末像としての病態。肝の線維性萎縮を生じ、多くは不可逆的・慢性進行性の経過をたどる。原因としては日本ではB型肝炎ウイルス性が約20%、C型肝炎ウイルス性が約60%、アルコール性が約10%を占める。早期では無症状である場合も多く、検査異常値から初めてわかることもある。一方、進行した例では黄疸・腹水・浮腫・羽ばたき振戦・肝性昏睡・女性化乳房・くも状血管腫・食道胃静脈瘤・脾腫・汎血球減少等が認められる。肝硬変の予防には、慢性肝炎の適切な治療が大切であり、症状に乏しい慢性肝炎でも、定期的な医療機関の受診・加療が必要である。肝硬変の治療は、主として対症療法が中心となるが、時に抗ウイルス剤などの原因療法が行われることもある。また、アルコール性では、禁酒が最も有効となる。肝硬変は、肝がんを発生させることが多く、特にウイルス性でその頻度が高い。従って、肝硬変では定期的に超音波検査やCTなどによるスクリーニング検査を受けて予防する必要がある。