子宮内膜やそれに似た組織が、子宮以外の部位に発生し月経のたびに出血を繰り返す病気。正常子宮内膜とは異なり、病変部の出血は体外へ排出されないため炎症を起こす。これが卵巣にたまったものを卵巣チョコレートのう腫(胞)、子宮筋層内に発生して子宮全体が腫れるものを子宮腺筋症といい、その他病変部位により腹膜子宮内膜症、他臓器子宮内膜症(肺・会陰・へそなどに発生)に分けられる。原因はわかっていないが、ストレスや環境ホルモン(ダイオキシン)が子宮内膜症の発生を促進しているとする説や、90%以上の女性の腹膜にはすでに子宮内膜症予備状態が起こっているが、通常は免疫系、内分泌系、脳神経系により調節されており、そのシステムが働かない場合に子宮内膜症へと進んでしまうとする説などがある。患者数は増加しており、潜在患者数は200万人以上ともいわれる。症状は月経時痛が最も多く(89%)、月経時以外の下腹部痛(76%)、腰痛(60%)、排便時痛(50%)などがある。また内膜症患者の50%程度が不妊である。治療法はダナゾール(男性ホルモン剤)やGnRHアゴニスト(女性ホルモンの分泌を止める)による薬物療法と病変部を取り除く手術療法がある。しかし子宮と卵巣をすべて取り除く根治手術以外は再発の可能性があり閉経するまでは完治しない。そのため病気をよく理解し、ライフスタイルや病状に合った治療法を医師とともに選択する必要がある。