肝臓移植(肝移植)は、1963年にアメリカのスターツルによって初めて実施されて以来広く普及し、治療成績も近年急速に向上、5年生存率は約70%である。長年にわたり脳死移植が禁止されてきた日本では、生体肝移植が行われてきた。適応疾患も拡大され、ウイルス性を含めた各種急性慢性肝不全に加え、肝がんにも行われつつある。また、移植する肝臓の不足を補うため、生体肝移植を受けた患者から取り出した肝臓を玉突き式に他の患者へ移植する「生体ドミノ肝移植」も行われている。日本においても1997年10月に臓器移植法が施行され、脳死肝移植が可能となったが、実施例は少なく、相変わらずドナー不足は深刻である。2004年1月1日から生体肝移植が劇症肝炎や非代償期肝硬変などで保険適用となった。一方、人工的に肝臓機能を代行する方法の開発も行われている。しかし、肝臓機能は多岐にわたるため、人工心臓・人工腎臓のように臓器機能をほぼ完全に代行できるような人工肝臓は現在では存在しない。現実的には血漿交換・血液濾過を中心とした血液浄化法が確立しているが、人工肝臓としては機能の一部を補助しているにすぎず、救命率はまだ不十分である。