膵島移植とはインスリン分泌の廃絶した1型糖尿病患者に、ドナー(臓器提供者)の膵臓から分離した膵島(インスリン分泌細胞である膵臓β細胞を主とした膵臓内分泌組織)を系門脈的に肝臓に移植する治療である。移植後の患者では低血糖発作の消失と血糖コントロールの改善が期待される。実施状況としては1990~2000年の10年間に約500例が施行された。しかし、移植成績が悪く、1年生着率は膵臓移植の80%に比べ膵島移植ではおよそ10%であった。2000年にカナダのエドモントンのグループが血糖値の不安定な1型糖尿病患者に対して、迅速に大量の膵島を移植すること、ステロイドを用いない新たな免疫抑制療法を行うことで、15カ月経た時点で15人中10人がインスリンを用いずに経過という良好な結果を得たため、現在はこの方法が世界各国で追試されている。日本では04年4月7日に国内1例目の膵島移植が行われた。また、京都大学移植外科では、世界初の生体膵島移植が行われ良好な経過をたどっている。しかし、日本での臓器移植は欧米に比べてドナー不足が深刻な問題になっており、膵臓移植、膵島移植では絶対的なドナー不足を解消するため、異種移植やES細胞(胎児幹細胞)を用いた膵臓β細胞の作製、体細胞からの分化転換などが試みられている。