心臓と肺を一塊として移植することをいう。1983年、アメリカで始められ、現在、特に欧米においては一般的な医療水準に達している。心肺移植適応は、原発性および先天性心疾患に起因する肺高血圧症が圧倒的に多く、その他、肺線維症、肺気腫などがあげられる。心肺移植後の成績をみると1年生存率は60%、5年生存率は約40%と心移植成績に比べて20~30%程度低い。また、生存曲線を見ると、心・肺単独移植に比して特に移植後早期の管理の困難さが指摘される。心肺移植後30日以内の死因としては出血・移植臓器の機能不全の頻度が最も高く、次いで感染症となっており、急性拒絶反応の関与は少ない。1年以降の死因では、慢性拒絶反応が原因と考えられている閉塞性細気管支炎の頻度が高く、慢性期における最大の課題になっている。これら心肺移植成績向上を阻む問題点に加えて、摘出臓器の長時間保存法の確立、ドナー不足などの問題があり、その解決が急がれる。