心臓は全身への絶え間ない血液の循環をその独特なポンプ機能により行っているが、心不全とは、全身の需要をまかなえなくなったポンプ機能不全状態のこと。虚血性心疾患をはじめ、あらゆる心臓疾患の終末期に至った状態と考えられる。重症例では、5年生存率は50%以下で予後は極めて不良である。発症の経緯により、急性心不全と慢性心不全とに分類される。急性心不全とは、心臓のポンプ機能の低下が急激なため、その機能低下を心臓自身が代償できないために呼吸困難等の重度の症状が急激に発症する。慢性心不全とは、ポンプ機能の低下が比較的緩徐に進行するため機能低下も代償され、症状も不顕性のことが多い。心不全の発症経過と重症度に応じて治療法が選択され、軽症から中等症では内科的薬物治療を、重症ではポンプ機能を補助する機器の使用を選択する。