心室内で多数の不規則な興奮が発生した状態で、心臓は単に震えているだけでポンプ機能は全く失われ、数秒間で意識は消失し、適切な処置が行われずに数分以上持続すると確実に死亡する、最も致死的な不整脈である。心室細動は心臓突然死の70~80%を占めるといわれており、毎分150~500の形状・大きさ・間隔がまちまちの心室波が連続して出現し、P波、QRS波、T波の識別は不可能である。一般にはR on T型や多源性心室性期外収縮、心室頻拍(トルサード・ド・ポワント ; torsade de pointes ; TdP)などから移行することが多い。原疾患としては虚血性心疾患、心筋症、弁膜症、心筋炎などの器質的疾患、WPW症候群、QT延長症候群、薬剤性、電解質異常に加え、全く基礎疾患を有さない特発心室細動も認められる。治療としては、心室細動発作時には心肺蘇生を施行しつつ直ちに200~400ジュールでの電気的除細動を施行する。心室細動再発予防のために基礎疾患の治療に加え、β遮断薬やアミオダロンなどの投与が有効であるが、これらが無効である場合には植え込み型除細動器(ICD)が必要である。