救急患者とは、通常の診療時間外の傷病者および緊急的に医療を必要とする傷病者をいい、これらの救急患者に対し、医療を提供する医療機関を救急医療機関という。この救急医療機関のなかで、まず初めに救急患者が運び込まれるところをER(救急室)という。ERは軽症例から最重症である心肺停止患者までのすべての受け入れを前提としており、救急患者はまずここで適切な処置を受け、専門分野の病棟へと振り分けられる。わが国の救急医療体制は、1964年に始まる救急病院・救急診療所の告示から四半世紀を経て飛躍的発展を遂げ、全国各地に救急医療施設の量的整備が図られてきた。今後は救急医療に対する質が問われる時代となる。このような現状において、ERは単なる救急処置室ではなく、疾病や外傷などに対して継続される医療の重要な過程を提供する場として認識されつつある。従って、ERにおける質の高い医療スタッフならびに医療機器の配備が医療現場における重要課題の一つとなっている。