過敏性腸症候群とは、腹痛を主症状とし、慢性的に便秘、下痢、あるいは便秘、下痢の繰り返しといった便通異常を伴うものの、腸には器質的病変を認めない腸管の機能異常のことである。腹痛はしばしば排便によって軽快する。若年壮年者に多く、比較的女性に多く認められる。性格やストレス等の心理的要因が症状の発現や増悪に関与していることがあり、近年社会環境の変化に伴い増加してきている。治療方法としては、規則正しい生活、ストレス発散といった生活指導、過食や消化の悪いものを避ける等の食事療法のほか、消化管運動改善剤、時には抗不安薬などの薬物療法が効果的な場合がある。