原因となる抗原物質(アレルゲン)を含んだ食物を経口摂取することによって引き起こされる。腹痛、下痢などの消化器症状や皮膚症状(掻痒症など)、呼吸器症状(気管支ぜんそくなど)、泌尿器症状(血尿、たんぱく尿など)、神経症状(頭痛など)を含んだ多彩な病像を示す全身性の疾患である。その発症にはまだ不明の点が多いが、遺伝性素因が大きく関係していると考えられている。また、成人に比べて乳幼児に多く、成長につれて治癒していく可能性が高いことから、個体の発達段階にも関連しているものと考えられる。日本では卵、牛乳、大豆のほか小麦、米、ソバ、ナッツ類、魚介類、甲殻類、野菜、果物なども食物アレルギーを引き起こすことがある。アレルゲンの特定のため皮膚にアレルゲンを接触させて反応を見る過敏性試験も行われるが、疑わしい物質を含まない食事での症状消失(除去試験)と、摂取による症状出現(負荷試験)を確認するのが最も確かな診断法である。治療はアレルゲンを含まない食事(除去食)の摂取が基本である。必要に応じて抗アレルギー剤の投与も行われる。