内視鏡などの検査で、器質的な病変(見た目の異常)がないにもかかわらず、さまざまな胃の症状が続く病態の総称。胃には食べたものを貯留し、胃液などの酵素を用いて物理的に消化し、腸へ送り出す働きがある。この機能が何らかの理由で障害されることで、食後の胃もたれ、腹部膨満感、胃部の不快感や痛みなどの症状が出現する。このような症状が6カ月以上前から存在し、最近3カ月以上症状が続いている場合に、本疾患の診断がつく。胸やけなどの症状を中心とする、胃酸の逆流によるものは胃食道逆流症(GERD)と呼ばれ、別の疾患として扱われている。生活上のストレスが大きな要因と考えられているが、概念が導入されたばかりで、保険適用となる薬剤も限られている。