患部に光線を照射することで、がん細胞のみを死滅させる治療法。がん細胞に特異的に結合する抗体と、光線の作用により狙った細胞を死滅させるエネルギーを発する物質との結合体を患者に投与して行う。2015年末時点では、アメリカ食品医薬品局(FDA)の承認のもと、アメリカ国内の3大学で治験中である。この治療法を開発したのは、アメリカ国立衛生研究所(NIH)の中にあるアメリカ国立がん研究所(NCI)に所属する、小林久隆研究員を中心とした研究チーム。がん細胞の膜に特異的に存在する分子に結合する抗体を選び、それに結合させる物質として、光線による化学反応で効率的に細胞を傷害するIR700という光感作色素を選んだ。光線には、直接的には細胞傷害性がなく、体の深部まで届く近赤外線を用いている。理論的にはあらゆるがんに適用でき、転移などで体中に広がった場合も効果が期待できる。手術や放射線療法などと組み合わせると、理想的ながん治療法が確立できるのではと期待を集めている。