患者の身近な地域内にあって、どの医療機関を受診しても処方薬を調剤してもらえる薬局や薬剤師。患者本位の医薬分業の実現をめざし、厚生労働省が2015年10月に「患者のための薬局ビジョン」の中で打ち出した。25年までにすべての薬局を、かかりつけ薬局に再編するとしている。薬局の本来の機能は、重複投薬や相互作用の有無の確認など、患者の服薬情報を一元的に把握するところにある。しかし現行では多くが病院周辺に依存立地するいわゆる門前薬局であるため、患者が複数の医療機関を受診すると、その機能が必ずしも発揮できていない場合があった。そこで患者が地域内でかかりつけとする薬局や薬剤師を選び、すべての処方薬を受け取ることで、服薬情報の一元的かつ継続的な把握とそれに基づいた薬学的管理と指導を実現させ、医薬分業が目指す安全・安心な薬物療法を受けることが可能となる。24時間対応や在宅訪問への対応、医療機関との提携も機能として明記されており、今後、かかりつけ薬局は日本政府が目指す地域包括ケアシステムの中で大きな役割を持つことが期待される。