読み書き能力という意味の「literacy」から派生した言葉で、「健康情報を入手し、理解し、評価し、活用する能力」を意味する。マスメディアによる報道の増加やインターネットの普及により、医療や健康に関する情報量は増大し、その情報源も多様化している。その一方で、医療サービスの利用者は、健康行動や治療方針の決定に関して、自律性および意思決定への主体的な参加が求められるようになってきており、ヘルスリテラシーが重要視されるようになった。ヘルスリテラシーと健康との関連についての研究において、ヘルスリテラシーが低いと、入院率や死亡率が高かった。病気に対する理解や知識が低いだけでなく、検診や予防接種の利用率も低く、規則正しい生活習慣や運動といった健康関連行動や、ストレスへの対処行動も適切に取られていない。ヘルスリテラシーを向上させることで、心身の健康状態の改善に結びつくことが期待できる。情報の受け手の能力の問題だけでなく、提供する側の情報のわかりにくさの問題もあるため、両面からの働きかけが重要である。