聴覚障害は程度が重いほど早く気付かれるが、1歳を過ぎても意味のある単語を話さない、大人の言葉を全く理解できない等で見つかることが多い。しかし、早期に発見して補聴器等を使用しないと、言葉のみでなく認知、情緒・社会性の発達も問題になりやすい。近年、聴性脳幹反応や耳音響放射を用いた、自動解析機能を持つ新生児聴覚スクリーニング用の機器が欧米で開発され、使用されるようになってきた。早期療育が必要な永続的な中等度以上の両側障害は、1000人に1.5人生まれる。日本では、2001年度から新生児聴覚検査試行的事業が開始され、実施する都道府県が少しずつ増え、06年の調査では約60%の分娩取扱施設で実施していた。スクリーニングで異常が認められた場合、早期に精密検査して確定診断を行い、療育等の援助を行わなければならない。今後、スクリーニングの全国的な普及が予想されるので、精密検査を行える専用の検査設備、習熟した医師や言語聴覚士(speech therapist)、また、早期療育の内容の充実を図ることが急務である。