インフルエンザをきっかけとして脳が腫れ、頭の中の圧力が高まり、脳全体の機能が低下する病気である。主として乳幼児がかかり、インフルエンザの発熱から数時間から1日で意味不明な言動、けいれん、急速に進行する意識障害などの神経症状が出現する。2001~02年の冬の患者数は227人、死亡は33人(死亡率は約15%)であった。約25%の子どもに後遺症がみられる。アスピリン、ジクロフェナクナトリウム、メフェナム酸などの解熱薬の服用により死亡率が上昇する。流行期は人混みを避ける、外出時のマスク着用、帰宅時の手洗いやうがいなど、一般的な予防が大切である。予防接種は、高齢者への効果は立証されているが、乳幼児の脳炎・脳症への効果は不明である。インフルエンザの診断では、細い綿棒をのどに入れて検査する。早く診断して、抗ウイルス薬を早期に服用して治療することが大切である。ただし、治療薬タミフル(リン酸オセルタミビル)の服用後における異常行動が一部報告されたことから、厚生労働省は07年3月、因果関係は不明としつつも、原則的に10歳代でのタミフル使用を禁止した。