子宮、膀胱や直腸など、骨盤内の臓器を支える筋肉と結合組織を骨盤底という。出産時には会陰裂傷や、目に見えない膣内部組織の無数の損傷、また神経も損傷しやすく、産後のケアが不十分であると、尿漏れや性器脱(骨盤内の臓器が膣を通して下がる骨盤臓器脱)を起こしたり、セックスレスの誘因や日常生活の苦痛になりうる。それを防ぐために骨盤底の筋肉を鍛える体操などを行うのが骨盤底リハビリである。スウェーデンで開発された骨盤底リハビリは、フランスが1985年に導入し、経膣分娩を行った女性の多くが受け入れた結果、出生率の向上に寄与したともいわれる。出産後の母体の体調が通常回復する産後1カ月以降、日本では産科を受診しなくなるため、今後、骨盤底リハビリを行える体制作りが望まれる。現状では、性器脱等の予防のため、産後に重い荷物を持たない、体を締め付ける下着を着ない、便秘にならないよう気をつけるなど、強い腹圧がかからないように注意したい。