妊婦が自動車事故から生命を守るため、装着するシートベルトについての規定。2008年11月、警察庁は自動車の運転マナーなどを定めた「交通の方法に関する教則」(国家公安委員会告示)を改正し、妊婦も着用することとした。ただしシートベルトが妊娠子宮の膨らみを通らぬように、腰ベルトは骨盤の左右先端にある腸骨のでっぱりを結ぶ線上に、また肩ベルトは胸骨前を通ってわき腹に通す妊婦独自の方法で装着する。妊婦の事故死の主因は車外放出と頭部外傷で、いずれもシートベルト装着で予防可能である。アメリカでは、妊婦のシートベルトに関して、非装着者は装着者と比較して胎児の死亡率は4.1倍、事故後48時間以内の未熟児出生が2.3倍多く、乗員の車外放出は非装着者のみに発生し、母体死亡率は33%、胎児死亡率は47%で、母体死亡の77%は非装着者であったと報告されている。そのため、「お腹の赤ちゃんを守る一番の方法はシートベルトで母親を守ることである」というキャンペーンも行っている。