母親が新生児を衣服の中で抱き、お互いの素肌を触れ合わせる育児手法。1970年代に南アメリカのコロンビアで、保育器不足に対して始められた。ところが、世界保健機関(WHO)とユニセフ(unicef)が、89年に発表した「母乳育児を成功させるための10カ条」の中に、「母親が出産後30分以内に、母乳を新生児にあげられるようにしましょう」という項目があったことから、のちに出生直後の新生児を裸の母親の胸に抱かせるカンガルーケアが、日本でも広まっていった。母乳の分泌が促進され、母子のきずなを深める効果が期待されている。しかし、日本の分娩室は比較的寒かったり、事前に十分な説明を行わないまま、母親と新生児を2人きりにするなど、安易に実施している出産施設があったため、呼吸停止したり、後遺症が残る新生児の報告が相次いだ。そこで、生後30分以内のカンガルーケアは中止するべきとの意見も出ている。