生きている提供者(ドナー)から受給者(レシピエント)に、肝臓を移し植えること。日本では、1989年に初めて行われた。日本肝移植研究会の集計によると、その後は毎年増加し、2005年末までに3783件実施された。生存率は1年後81.7%、5年後76.1%で、過去に33件実施された死体肝移植とほぼ同じである。このうち、レシピエントが18歳未満のケースは1253件で、生存率は1年後86.2%、5年後83.2%と、大人よりも高い。ドナーの内訳は母親が53%、父親が43%、祖父母が2%だが、半数近くの人は、提供後に疲れやすい、傷が痛んだりひきつれを起こす、といった体調不良を感じている。重症な肝臓病の治療法として確立されつつあり、子どもの場合は、72%が胆道閉鎖症、8%が急性肝不全、8%が高アンモニア血症やアシドーシスを繰り返す先天性代謝異常の治療として行われる。ただし、肝移植の適応や時期が、子どもによって大きく異なるため、移植専門医に早めに相談したい。現在の移植医療では、他人のドナー臓器の一部が必要であること、レシピエントがその臓器を受け入れるために免疫抑制薬を一生服用しなければならないこと、などの問題がある。近い将来、子ども自身の細胞から肝臓が作れるようになれば、解決できると思われる。