インフルエンザ菌b型(Hib haemophilus influenzae type b)による感染症を予防するためのワクチン。インフルエンザ菌は、冬に流行するインフルエンザの原因ウイルスとは異なり、肺炎、敗血症、喉頭蓋炎などの感染症を引き起こす細菌である。とりわけ、重篤な細菌性髄膜炎(Hib髄膜炎)の原因菌となることが問題である。日本では、年間約600人の乳幼児がこの疾患にかかり、そのうち約5%が死亡し、約20%に知的障害や脳性まひなどの後遺症が残っている。1998年、世界保健機関(WHO)は細菌性髄膜炎予防のため、ヒブワクチンを乳児に接種することを勧告し、2008年末時点で133カ国が実施していた。日本でもようやく08年12月に販売が開始され、希望者が有料で受けられる任意接種となった。注射の回数は、接種開始時の月齢によって異なるが、生後3~7カ月では、三種混合ワクチンと同様に初回3回、その1年後に追加1回の計4回である。しかし、保護者の希望が多いためにワクチン不足となっている。