妊娠できても流産や死産を繰り返し、生きた子どもを出産できない病態。妊娠した女性の約1~2%に存在する。望んでも1年以上妊娠できない不妊症とは異なる。通常、普通に妊娠しても約15%は流産(妊娠満22週未満の妊娠中絶)、約1%は自然死産(妊娠満12週以降の胎児死亡)となり、それらの原因の半数以上は胎児の染色体異常である。そこで3回以上続けて流産する場合を習慣性流産といい、不育症もほぼ同義として使われることが多い。原因は、女性ホルモンや甲状腺ホルモンなどの分泌異常、糖尿病が約20%、子宮の形態異常や子宮内膜症などの子宮因子が約15%、夫婦どちらかの染色体異常が約5%、その他、心疾患や慢性腎炎などの全身性疾患、免疫的異常、性感染症などがあるが、約半数は原因不明である。しかし、最近は原因を調べる検査方法や治療法が進歩しているので、専門外来を受診した人の約80%は無事に出産できる。夫婦のみで悩むのではなく、専門医への受診が望まれる。