ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染で発症する、子宮頸がんを予防するワクチン。HPVは性交渉経験をもつ女性の約8割が一度は感染するウイルスで、100種ある型のうち、約15種に発がん性がある。ただし感染しても、がんまで進むのはごく一部である。HPVの感染を防ぐワクチン接種は、世界100カ国以上で行われており、日本でも2009年末に承認された。がんになる頻度が最も高い16型、18型ウイルスの感染と、他の似た型の感染に予防効果があり、効果は10~20年持続するという。対象は11~45歳の女性で、妊婦は推奨されない。希望者が有料で受ける任意接種であり、産婦人科、内科、小児科などで接種できる。子宮頸がんを発症する日本人女性は、年間約1万5000人にのぼり、死者は約3500人と推計される。ワクチン接種による予防と、検診による早期発見という二段がまえによる対策が好ましい。13年6月、子宮頸がんワクチン接種後に持続的な疼痛を訴える事例が相次ぎ、厚生労働省は因果関係調査のため、積極的な接種の推奨を一時中止する決定をくだした。