胎児の発育 に影響する、妊娠期のヨウ素の摂取量は適切でなければならないこと。世界保健機関(WHO)は、妊婦のヨウ素摂取量は1日200~250マイクログラム、または妊婦集団における24時間の尿中ヨウ素量の中央値は1リットルあたり150~249マイクログラムであることが適切としている。妊婦のヨウ素は胎児にも供給されたり、尿中への排泄が増加したりすることで、需要が高くなる。その代謝は、また血中ホルモンの変化に左右されたりして、非妊娠時と比べ、または妊娠週数によっても異なっている。さらに妊婦の食事によってヨウ素の摂取量が左右される。妊婦がヨウ素欠乏になると、生まれた子どもが地方病性クレチン症になったり、精神(発達)遅滞などを生じる。一方、妊娠後期或いは出産時にヨウ素の過剰摂取によって、新生児が一過性甲状腺機能低下症になる。世界中の多くの地域では、妊婦のヨウ素欠乏症が問題になるが、場合によっては食塩のヨウ素添加によって持続的な過剰摂取も問題になる。日本の食習慣では、妊婦が間欠的に海藻類の摂取によって過剰摂取になる心配があるため、2010年に改定された「日本人の食事摂取基準」では妊婦の推奨量が1日240マイクログラムとされた。