腸が腸の中に入り込んで発症する疾患で、回腸(小腸の終わりの腸)が大腸に入り込むことが多い。小児救急の代表的な疾患であり、2011年、日本小児救急医学会は「エビデンスに基づいた小児腸重積症の診療ガイドライン」案を公表した。発生頻度は出生2000人に1人ぐらい。0歳児が半数以上を占め、3カ月未満や6歳以上は少ない。約4%は小腸ポリープなどの器質的病変をきっかけに発症し、約30%は発症前に何らかの感染症に罹患している。再発率は約10%、年平均2人の0歳児が死亡している。発症すると急にぐったりして不機嫌(腹痛)、不活発、顔面蒼白となり、肛門から血液がそのまま出るような血便(浣腸してわかることもある)、腹部腫瘤(しゅりゅう)ないし膨満などの症状が出る。その場合は早急に医療機関を受診して、注腸造影や超音波検査などによる診断を行い、治療を始めなければならない。治療はX線透視下で、空気または水溶性造影剤によって整復するが、手遅れになると外科手術を行う。