小児まひ、急性灰白髄炎とも呼ばれるポリオを予防するワクチンで、従来のような口から飲む経口生ワクチンではなく、化学処理で死滅させたポリオウイルスの有効成分を注射するもの。免疫効果は生ワクチンより弱く、発熱などの副反応があるが、ポリオに感染する心配もない。日本では経口生ワクチンが使われてきたが、30年以上、野生のウイルス株によるポリオ患者の発生はない。しかし、ここ10年間のうちに、予防接種健康被害救済制度を利用した子どもが15人いたことが判明している。世界的には1990年代後半から不活化ワクチンを使う国が増加した。日本でも2012年度末をめどに、予防接種を生ワクチンから不活化ワクチンに切り替える予定である。現時点では薬事法が特例承認の要件に定める「疾病の流行」「代替医薬品がない」に該当せず、緊急輸入はされていない。個人輸入で不活化ワクチンを利用する場合は、国内未承認のため自費接種となり、健康被害についても公的な救済制度は適用されない。