子どもの体温が、38℃以上の際に見られるけいれんである。ただし、けいれんは全身または体の一部の筋肉が、自分の意志と関係なく、発作的に収縮することであり、他のけいれん性疾患と区別しなければならない。通常はけいれん発作時間が5分以内で、発作形に左右差がなく、全身性で、意識の回復がよいものを単純性熱性けいれんとし、狭義に熱性けいれんともいう。一方、単純性以外の熱性けいれんは、複雑性熱性けいれんともいい、他の疾患の有無に注意したい。単純性熱性けいれんは、生後6カ月~6歳児の約8~10%にみられ、脳波に異常はなく、その後の発育や発達に影響はない。約半数は1回の発作のみで治まるが、6歳まで数回経験する子どももいる。急な発熱上昇時の発作が多いので、けいれんがあって初めて発熱に気づく場合もある。発作が起きたら、安全確保が第一であり、安静にして無用な刺激を避け、どのような発作か観察したい。ただし、発作が5~10分以上続く場合は、救急車を呼んで医療機関を受診する。治療としては、予防が大切であり、熱性けいれんの既往のある子どもに37.5℃以上の発熱が見られたら、けいれん予防坐薬ジアゼパム(商品名「ダイアップ」)を投与する。