食物アレルギー、ハチ刺傷などによる全身性の即時型アレルギー(アナフィラキシー)に対し、緊急補助的に使用される医薬品で、アドレナリンを自己注射の形で投与できるようにしたもの。アドレナリンは、副腎髄質から分泌されるホルモンで、主に心臓の働きを強めたり、末梢血管を収縮させたりして血圧を上げる作用がある。また、気管や気管支など、気道を拡張する作用もある。アナフィラキシーを起こす可能性のある場所に常備して、発症時、医療機関搬送までの悪化防止に役立てる。たとえば商品名「エピペン0.15ミリグラム」の場合は、体重15キログラム以上の子どもを対象として処方されている。使用者は本来、患者本人(未成年の場合は説明済みの保護者)であるが、必要に応じて救命士、保育士、教師なども使用可能である。保育所や学校などでは、アナフィラキシーなどの重篤な反応が起きそうな子どもがいる場合、速やかな医療機関救急搬送が基本であるが、重篤な症状が出現し、時間的猶予がない場合の緊急処置として、保育所や学校などの職員による注射も想定されている。