抗ミュラー管ホルモン(AMH)、別名ミュラー管抑制因子を調べ、卵巣機能をみる検査法の一つである。胎児の卵巣中には、約700万個の原始卵胞があり、思春期には約30万個に減る。原始卵胞は、月経が始まる時期に活性化し、発育卵胞、前胞状卵胞、胞状卵胞、成熟卵胞の順に成熟して、約190日かけて排卵の時期に入る。活性化を始めた原始卵胞、発育卵胞、前胞状卵胞はAMHを産生分泌するが、血清AMH値はその卵胞の数と相関し、性周期の影響を受けにくい。そこで卵胞刺激ホルモン(FSH)や、他の黄体形成ホルモン、エストラジオールなどの検査よりも、卵巣機能の評価に有用と考えられる。成人女性の血清AMH値は、主産生源である前胞状卵胞の消失を反映して、年齢上昇とともに減少する。AMH低濃度では、妊娠率も低下することから、このAMHの測定は不妊女性の卵巣予備能を知るよい指標になる。また、AMH値が高値となる疾患として、排卵が行なわれず、卵巣に滞留した多数の卵胞によって多嚢胞化している多嚢胞性卵巣症候群が挙げられる。