4歳以下の乳幼児に好発する急性熱性疾患で、正式名は小児急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群(mucocutaneous lymph node syndrome)。日本では、毎年約1万人の乳幼児がかかっている。次の主要6症状のうち、5つ以上の症状を伴うのが特徴。(1)5日以上続く原因不明の発熱(5日未満で治療解熱した場合も含む)、(2)両側眼球結膜の充血、(3)口唇の紅潮、いちご舌、口腔咽頭粘膜のびまん性発赤、(4)皮膚の不定型発疹、(5)急性期は手足の硬性浮腫、回復期は指先から皮膚がむける膜様落屑(まくようらくせつ)、(6)急性期の非化膿性頸部リンパ節腫脹。ただし4症状のみでも、検査で冠動脈瘤が確認され、他の疾患が除外された場合には本症と診断される。また主要症状には含まれないが、BCG接種部位の発赤・痂皮(かさぶた)形成なども生じやすい。原因は不明であるが、地域ごとに発生しやすいので、何らかの感染症が引き金になっている可能性が高い。治療は、診断直後に行う大量のガンマグロブリンの点滴静注が一般的である。後遺症による冠動脈疾患も含めた死亡率は、以前は1~2%であったが、現在は0.1%以下に減少しているので、治療法はほぼ確立したといえる。