B型肝炎ウイルス感染による、ウイルス性肝炎を防ぐための方法。新生児や乳幼児の場合は持続感染者になりやすいので、キャリア(症状のない感染者)である母親からの垂直感染、医療行為や傷口からの水平感染に注意を要する。思春期以降の水平感染の多くは、一過性感染で終わりやすいが、3歳以下の感染はウイルスが排除されずに体内で共存する。そうして思春期以降に急性肝炎を発症すると、10~20%が慢性肝炎、肝硬変、肝臓がんになる。主な予防法は、B型肝炎ワクチンの予防接種である。日本では、1986年にB型肝炎母子感染防止事業が始まり、ハイリスク者に予防接種を行った結果、垂直感染が激減した。しかし近年では、家庭、保育園、スポーツクラブなどでの水平感染や、海外からの外来種ウイルスの感染が目立つようになった。世界保健機関(WHO)は、92年、全出生児にワクチンを接種して水平感染を予防する、ユニバーサルワクチネーションを強く推奨。現在、193の加盟国のうち177以上の国で法定接種化されている。そこで日本でも、乳幼児全員に対するB型肝炎ワクチン接種の必要性が、検討されている。