重度の障がいや難病を抱えた子どもへのケア、それを世話する保護者、家族への休息(レスパイト)を提供するトータルサービスのこと。終末期を対象とした成人向けのホスピスとは異なり、診断直後から必要に応じてケアが提供される。ターミナルケアや、死別後のケアなども行われる。施術場所は自宅、ホスピス用施設、緩和医療の病棟など。世界初の小児ホスピスは、1982年に末期がん患児のために設立されたイギリスの「ヘレンハウス」である。ケアチームは、さまざまな職種で構成されており、専門のスタッフが個別のニーズに合わせたケアを提供する。日本では小児診療技術の進歩により、以前は助からなかった多くの患児が生きられるようになり、難病児やその家族、小児病棟の負担を減らす取り組みが始まったばかりである。一方で財政基盤の脆弱(ぜいじゃく)、ケアの質の維持、施設の格差といった課題も山積している。あらゆる場で子どもの最善の利益の実現を求める「子どもの権利条約」が唱えているように、小児ホスピスを社会の義務として、早急な体制整備がのぞまれる。