血液中の乳酸濃度が、1リットルあたり4ミリモル(92ミリグラム)となるポイントのこと。乳酸は運動時の筋肉で大量に生産され、血液中に放出される。実際に安静時から徐々に運動負荷を上げていくと、あるポイントから血中乳酸値が上昇しはじめる。このポイントを乳酸性作業閾値(LT ; lactate threshold)という。たとえば持久性運動では、筋肉を動かすATP(アデノシン3リン酸)という物質を使いながら、合成し続けなければならない。運動負荷が小さいときは、体内の糖分が酸素を利用してATPに変化し、筋肉でエネルギーとして取り出された後に二酸化炭素と水になる酸化系というシステムが機能する。運動負荷が大きくなると、酸素を介して合成されるATPだけでは不足なので、酸素を介さないでATPを合成する解糖系という機能が働いて、乳酸が生産される。血中乳酸濃度の正常値は、測定法によって異なるが、ピルビン酸を基質としたときの基準範囲は1リットルあたり200~400 IU(国際単位)である。