1974年、アメリカの整形外科医フランク・ジョーブによって考案された、肘(ひじ)の靱帯(じんたい)断裂の外科的治療法。アメリカのプロ野球チーム、ロサンゼルス・ドジャーのトミー・ジョン投手が最初にこの治療を受けたことが名称の由来で、投球時に肘の側副靭帯を傷めやすい野球選手がよく受ける。医学的には側副靱帯再建手術といい、損傷した肘の靱帯を切除し、正常な腱(けん)を移植して患部を修復する外科手術。ただし移植した腱が靱帯に定着するのに時間がかかるため、術後も長期にわたるリハビリテーションが必要で、1年以上かかることも多い。当初は成功率1%未満といわれたが、現在は完治する割合は約90%となっている。野球選手の中には、術後に球速が上がった、というケースも少なくない。このような成功率の向上や球速の増加は、リハビリテーションの進歩によるところが大きいといわれる。日本人の野球選手では、村田兆治、荒木大輔、桑田真澄、五十嵐亮太、松坂大輔などがこの手術を受けている。