致死率が50%を超える脳損傷の一種で、1973年にアメリカ人医師のリチャード・シュナイダー(R.C.Schneider)が最初に報告した。頭部に衝撃を受けた直後に起こる脳しんとうは、一過性の神経機能まひを伴うが、一般的には数分で治る。しかし、スポーツの競技中など短時間のうちに、脳しんとうを伴うような衝撃を2度以上頭部に受けると、より重篤なセカンドインパクト症候群が発生する可能性がある。主な症状は、意識喪失、記憶喪失、めまい、頭痛など。意識喪失は一瞬的な軽度のものから、数時間におよぶ重度のものまであるが、短時間のケースでも、本人は何が起きたかわからないことが多い。頭痛は軽度のものでは発症しないが、重度の場合は数カ月間も続くことがある。脳しんとうを起こした人は、絶対に動かさないように安静にして、氷や濡れタオルで頭部を冷やす必要がある。気絶するような中度以上の場合、脳に損傷がある可能性が高いので、完全に回復するまでは練習や試合を続行してはいけない。スポーツ中に脳しんとうを起こした場合、軽度であれば1週間、中度以上であれば2週間以上の休養が必要とされている。特にボクシングや柔道で、セカンドインパクト症候群が多発していることを考えると、中学校の武道必修化によって柔道が導入された教育現場では、十分な注意が必要となる。