歯列をしっかりとかみ合わせ、歯の損傷や口内の裂傷を防ぎ、脳への振動も軽減するための器具。コンタクトスポーツなどで使用され、上顎にはめるタイプと、上下の歯でかむようにするタイプがある。マウスピース(mouthpiece)、ガムシールド(gumshield)ともいう。最大の目的は、スポーツ外傷の予防である。ボクシング、アメリカンフットボール、アイスホッケーでは競技中の装着が義務化されている。一部義務化されているスポーツには、空手、ラグビー、ラクロスなどがある。そのほか、レスリング、サッカー、バスケットボール、水球、ハンドボール、ホッケー、乗馬、自転車、柔道、重量挙げ、アーチェリー、射撃などでも使われる。アメリカでは、野球のリトルリーグ選手が、外傷を予防するため利用している。歯と歯が十分にかみ合うので、着用すると通常より強い筋力を発揮でき、パフォーマンスの向上につながるともいわれている。近年、こうした効果が徐々に認知されるようになり、多くの競技で使用率が高まりつつある。日本のプロ野球選手の中にも使用者がいる。その一方で、プロゴルフ界では打球の飛距離に影響すると考え、医療目的以外でのマウスガードの使用を禁止している。最近ではオーダーメード品も普及しつつあり、日本体育協会は、2013年から「スポーツデンティスト」の養成を行うことを決めている。