股関節、骨盤、恥骨、鼠径(そけい)部に出現するスポーツ障害の総称。医学的には鼠径部痛症候群、スポーツヘルニアともいう。下半身を酷使するサッカー、ラグビー、アメリカンフットボール、陸上(長距離走)種目などの選手に多い。症状は股関節の前面、特に鼠径部周辺に生じる運動痛や圧痛で、股関節に関する筋の過緊張や筋力低下も見られる。過度の外圧や反復動作に伴う、肉体的ストレスが主な原因。左右の脚の長さに差があったり、筋肉の硬直、脚部の捻挫、肉離れ、腰痛などを押しての運動が引き金になるケースもある。とりわけサッカーでは、ボールを追いながらの急発進や急停止が、鼠径部周辺に体重の7倍以上もの負荷をかけるため、本症の約70%はサッカー選手である。日本では中田英寿や中村俊輔、世界ではジネディーヌ・ジダンやティエリ・アンリも発症しており、サッカー選手の職業病ともいわれている。普段からの股関節周辺の筋力アップ、プレー前の十分な準備運動が予防になる。