漢方医学では、内臓を単に解剖学的臓器としてではなく、物質代謝や精神活動などを含めた一つの機能系としてとらえている。「五臓」とは、肝、心、脾、肺、腎を示し、「脾」以外は西洋医学における解剖学的臓器と同じ臓器をみていると考えられる。しかし、機能面では両者の認識は必ずしも一致しない。漢方医学では、病態を理解するにあたって、これらの五臓の機能的側面に注目し、「どの臓に異常があるのか」を把握することが重要になる。例えば、「肝」は自律神経をコントロールする役割があり、また、筋肉および眼にも関与する。このため、ストレスなどによって「肝」が障害されると、自律神経のバランスが壊れ、イライラして怒りっぽくなり、顔のピクつきやこむら返りのような筋肉けいれん、眼精疲労の症状などが出現すると考えるのである。