コンピューター同士が直接データをやり取りするピアツーピア(P2P ; Peer-to-Peer)型の電子決済システム。「サトシ・ナカモト」と称する人物が2008年に書いた論文で紹介した技術に基づき、開発された。システムはオープンソースで公開されており、決済の履歴は公式トランザクションログに記録されると同時に、安全に匿名で決済を行うことができる点が特徴である。ビットコインのシステムの維持のためには、決済の履歴をブロック単位で承認し記録する手続きを実行し続けなければならず、そのために計算能力を提供する者が必要となってくる。そこで、その報酬としてルールにしたがってその提供者に新たなビットコインを与える仕組みになっている。この処理を「採掘」と呼んでいる。
ビットコインはもともと理論的システムであり、電子貨幣(電子マネー)としての価値はなかった。しかし、10年にある人物がピザ2枚と1万BTC(ビットコイン)を交換したことで、実際の商品と交換可能であることが示された。
現在、ビットコインを入手する手段は「採掘」によるもの以外に、世界中に何カ所かある「取引所」を介して現金と交換する方法が用意されている。しかしながら、14年2月の大手取引所Mt.Gox(マウント・ゴックス)社の破綻を皮切りに複数の取引所が閉鎖されたり、取引を停止したりしている。
ビットコインの仕組みは、取引決済システムとして興味深いものであるが、実際の社会で電子貨幣として流通させるには課題も多く、社会的・法的問題も多く指摘されている。