従来の科学技術は、あいまいさをできる限り排除する方向に向かっており、すべての言明は正しい(YES)か正しくない(NO)のいずれかであるとされてきた。しかし人間がふつうに行う推論はそのように厳密なものではなく、むしろあいまいさを利用することによって柔軟性を実現している。たとえば、「夕焼けの翌日は晴れる」という知識は厳密には成り立たないが、ある確信度で成り立つと見なせば、非常に有効である。このようなあいまいな知識を用いて、あいまいな推論をコンピューターで行うことを、ファジー推論と呼ぶ。特に日本での研究が盛んで、地下鉄の自動制御に始まり洗濯機、冷蔵庫、電子レンジなど多様な家電製品にも応用されている。