類推は、帰納と演繹とを組み合わせたプロセスである。いま考えている問題を解くためにそれに類似した例を手本として利用する。たとえば、未知の原子構造の知識を学習するために「原子構造は太陽系に似ている」ことから既知の太陽系の知識をあてはめるのである。類推は現在抱えている問題以外の知識をもっていなければできない、というのが特徴である。類推は飛躍した推論を可能にする(新しい知識が得られる)が、必ずしも正しい推論を保証しない。いくら原子構造と太陽系が似ているとはいえ、太陽系で真ん中の太陽が周りの惑星より温度が高いからという理由で、原子構造でも真ん中の原子核が周りの電子より温度が高いということにはならない。どのようにすれば正しさを保証できるかが類推研究の一つのかぎとなっているが、類推は誤った推論を行う危険をはらんでいる。