放射線、特に電離放射線は化学結合を切断する能力をもつ。そのため、生命体のDNAなども容易に傷を受けるため、多くの生命体は放射線に弱い。その性質を利用して、食品の殺菌に利用する用途がある。γ線(ガンマ線)の照射によって新たに放射性核種が生まれる危険はないが、化学物質の変成は起こりうるし、遺伝毒性をもった物質の生成も危惧(きぐ)される。海外では、40カ国を超える国で、100品目以上の食品への放射線照射(radiation exposure)が行われているが、従来、日本では、ジャガイモの発芽防止以外には認められていなかった。だが、2006年7月に、香辛料の殺菌にも使用することが認められ、照射された香辛料が輸入される事態となった。それに伴い、禁止されている照射食品の輸入を防ぐ方策も検討が必要になり、熱ルミネッセンス (TL ; thermo luminescence)試験法、光ルミネッセンス(PSL ; photostimulated luminescence)試験法などが開発されている。