世界の原子力市場は、アメリカのゼネラル・エレクトリック(GE)社の沸騰水型炉、ウエスチングハウス(WH)社の加圧水型炉、そしてヨーロッパのアレバ社の加圧水型炉がほぼ押さえている。このうちアレバ社が開発してきた電気出力160万kWの最新型原子炉を欧州加圧水型炉(EPR)と呼び、4基が建設中。ヨーロッパでの原子力発電所の新規発注が途絶えた中で、フィンランドがオルキルオト原発3号機として初めてEPRを採用し、2005年に建設が始まった。しかし、新しい設計でさまざまな不具合が発覚し、建設費が高騰してきたうえ、建設は大幅に遅れている。
また、フランスのフラマンビル原発3号機として07年から建設が始まったEPRも、建設費が高騰、建設企業のアレバ社は経営不振で、自立再建を断念、フランス電力公社(EDF)に吸収されてしまった。中国も台山原発1~2号機としてEPRを採用し、08年から建設が始まったが、それ以外の採用はない。一方、13年10月には、フランス電力公社が中国企業を含む企業連合を主導し、189億ユーロ(約2兆4570億円)でイギリスのヒンクリーポイント原発にEPR2基を建設する計画を発表した。しかし、建設費の見積もりはすでに2倍近くに高騰しており、イギリスの消費者がこの建設計画を認めるかどうかも不確定である。