ボーイングが開発した新中型旅客機で、愛称はドリームライナー(Dreamliner)。2002年12月20日に機体計画が明らかにされ、当初は7E7の名称が付けられていた。機体構造全体の約50%を炭素繊維材料製にして軽量化を図り、最新の空力技術、電気を主体としたシステムの使用、最新技術エンジンの装備などによって、従来の同級機と比較して20%の効率向上を実現した。日本の航空宇宙産業も約35%の分担比率で、リスク分担パートナーとして開発と製造に参加している。04年4月26日に全日本空輸(ANA)が発注を決めたことで開発が正式に開始され、05年1月28日に名称が787に変更された。初号機は07年7月8日に公開されたが、この時点では未完成で、その後、部品の不足や強度不足、ボーイング社のストライキなどで作業が大幅に遅れ、09年12月15日にようやく初飛行した。しかし、10年11月9日には飛行中に機内火災を起こし、緊急着陸。このため開発作業はさらに遅れて、型式証明を取得できたのは11年8月26日となり、9月25日に全日本空輸に初引き渡しされた。13年1月には連続して運航中にトラブルが発生。特に、新しいリチウム・イオン・バッテリーの発熱が問題となり、2月から飛行停止措置が取られた(同年4月26日に解除)。
787の基本型は787-8で、210~250席の客席を備えて1万4168~1万5186キロの航続力を有する。その胴体延長型が787-9で、客席数は250~290席、航続距離は1万4186~1万5742キロとなる。引き渡し開始は14年。13年6月18日には、さらに胴体を5.5メートル延長する787-10の開発を決定した。3クラス編成で323席を装備、約1万3000キロの航続力を有するタイプとなる。最終組み立てと飛行試験を17年に開始し、18年に引き渡しを開始した。14年1月末の時点で、全タイプ合計1031機を受注している。なお、787-8と同じ長さの胴体を使用し短距離線向けとする787-3も計画されていたが、発注を行ったのが日本の2社(全日本空輸と日本航空)だけで、その後開発は中止された。ボーイングは、787-9の胴体をさらに5.47メートル延長し、標準客席数330席で航続距離を6430海里(1万1740キロ)とした787-10を開発して、17年3月31日に初飛行させた。