事故には至らなかったものの、事故が発生する恐れのあった事態のこと。日本の航空法では次の事態を重大インシデントとし、機長の報告を義務づけている。
(1)閉鎖中あるいは他の航空機が使用中の滑走路からの離陸または離陸の中止。
(2)閉鎖中あるいは他の航空機が使用中の滑走路への着陸または着陸の中止。
(3)オーバーラン、アンダーシュート、滑走路からの逸脱(航空機が自走できなくなった場合に限る)。
(4)非常脱出スライドを使用して非常脱出を行った事態。
(5)飛行中において、地表面または水面への衝突または接触を回避するため、航空機乗組員が緊急の操作を行った事態。
(6)発動機の破損(破片が当該航空機を貫通し、または発動機の内部において大規模な破損が生じた場合に限る)。
(7)飛行中の発動機(多発機の場合は2基以上の発動機)の継続的な停止または出力もしくは推力の損失(動力滑空機の発動機を意図して停止した場合を除く)。
(8)航空機のプロペラ、回転翼、脚、方向舵、昇降舵、補助翼またはフラップが損傷し、当該航空機の航行が継続できなくなった事態。
(9)航空機に装備された、1または2以上のシステムにおける、航空機の航行の安全に阻害となる複数の故障。
(10)航空機内における火炎または煙の発生および発動機防火区域内における火炎の発生。
(11)航空機内の気圧の異常な低下。
(12)緊急の措置を講ずる必要が生じた燃料の欠乏。
(13)気流の擾乱その他の異常な気象状態との遭遇、航空機に装備された装置の故障または対気速度限界、制限荷重倍数限界、運用高度限界を超えた飛行により、航空機の操縦に障害が発生した事態。
(14)航空機乗組員が負傷または疾病により運航中に正常に業務を行うことができなかった事態。
(15)航空機から脱落した部品が人と衝突した事態。
(16)前各号に掲げる事態に準ずる事態。
重大インシデントには至らないものの、航空機の安全運航にかかわる異常事態を伴った運航のことを、イレギュラー運航という。これには、出発地への引き返し、目的地空港以外への着陸などがある。