アメリカやヨーロッパなどで研究が進められている、自動車のように一般道路を走行できつつ、ヘリコプターのように垂直に離着陸して、しかも空中を飛行できるようにするという新しい乗り物。イスラエルのアーバン・エアロノーティクスは、まずエアミュールと名付けた無人の試作機を製造して、2009年1月に初飛行させた。これはイスラエル国防軍向けの偵察機を前提としたもので、今後試験と改良を重ねて、2020年頃の実用化を目指している。このコンセプトをさらに進めて一人乗りとし、また自動車の機能を高めるのがXホークである。高度3700メートルまで上昇して250キロメートル毎時の最大速度で飛行でき、2時間の滞空を可能にすることが計画されている。さらに実用型では3人の乗客も乗せられるようにすることで、法執行機関のパトロール機などとして提案が行われている。目標価格は320万ドル(3億6160万円)。このほかにもアメリカではベル・ヘリコプターが、 ヨーロッパではエアバスがスロバキアのエアロモービルと共同で「空飛ぶ車」の研究を行っているが、既存の自動車の交通体系に組み込めるのか、安全性の確保など、実用化に向けてはまだまだ課題が多い。まず2020年代から30年代前半に有人の乗り物にするための技術研究と開発を進める必要があり、そこで実用化の可能性が示されたら、その後に運用方式や法律などが検討されることになろう。