通常のサイリスタはゲートに流す微小電流によってオフ状態からオン状態に移行するが、光サイリスタでは素子に設けられた窓を通して光を照射し、それにより発生する光電流を制御信号として動作する。光サイリスタは、電磁誘導ノイズに強く、他の光素子に比べて大きな電力を扱えることが特長であり、パワーエレクトロニクスを代表するデバイスの一つ。電力設備の効率の良い運用には全国規模の電力系統の連携が必要で、そのため大容量周波数変換装置、交直変換装置などが使用されている。大容量、高電圧の装置では、多数のサイリスタを直列接続し、電気的に絶縁されたゲートパルスを同時に加える必要があるが、光サイリスタは、主回路と制御信号回路を電気的に完全に分離できる。1992年に新信濃周波数変換所で世界で初めて利用され、最近の高電圧、大容量装置に採用されている。